まわりのアメリカ 9月<ワシントンDC特別編>

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*写真の像が重なってしまうときは,ブラウザの幅をいっぱいに広げてみて下さい。 

 

ホワイト・ハウス

 

 

9月1日(月)レイバーデイ(Labor Day:労働者の日)で休日。休暇をもらったので,家族でワシントンD.C.に行くことにしました。お昼頃チャペルヒルを出ました。ノースカロライナから北のバージニア州へ向かうI(Interstate)-85は初めてのうえ,いつも使っているI-40に比べるといくぶん道が狭く,工事中が多かったので少し緊張しました。

リッチモンド

 

 バージニア州都リッチモンドが近くなると車も増え,景色もかなり都会らしくなります。

バージニア州都リッチモンド

 チャペルヒルで暮らし始めてから5階建て以上の建物をこれだけ見たのは初めてで,2,3ヶ月のうちに自分たちがとんでもなく田舎者になっていることに気がつきました。バージニア州に入ってからは,いやにスピード違反でパトカーに捕まっている車が多く,休日特別取り締まりでもしていたのでしょうか。

 ワシントンD.C.は,1800年にポトマック川を境にしてバージニア州とメリーランド州からそれぞれ土地を分けてもらって作られたアメリカの首都。ワシントンというのは,もちろん合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンから,D.C.というのは,District of Columbiaの略でアメリカ大陸を発見したコロンブスからと,アメリカの歴史に欠くことのできない二人にちなんでいます。この都市は行政的にはどの州にも属さない連邦政府の直轄地です。

 MapQuestであらかじめ道順は調べておいたものの,さすがにワシントンD.C.に近づくとフリーウェイも片側5車線,しかも3人以上乗車している車は特別の優先レーンが走れるという複々線状態で,多少不安を感じましたが,基本的に分岐やランプは右側と決まっているので,日本のように急な車線変更は必要ないので慌てることはあまりありません。

 

Embassy Hotel in Crystal City

 ホテルはアーリントン墓地近くのクリスタルシティにあるエンバシースウィートホテル。ここは,実際にはワシントンDCではなく,バージニア州になります。子供用のプレイルームがあるのと交通の便も良さそうなので,AAAでズー(Zoo)パックを予約しておきました。ホテルに着いたらちょっとしたウェルカムドリンクとスナックが毎日楽しめるとのこと,ちょっと気がきいています。11階までの吹き抜けのある建物で,部屋もきれいです。しかもプレステ付きのテレビがなぜかリビングと寝室に1台ずつありました。

Embassy Hotel in Crystal City

 

 夕食は,近くのペンタゴンセンターにあるカリフォルニアピザキッチンでカリビアンピザとカルボナーラスパゲッティ。ピザは,ちょっと甘いけどめちゃくちゃ辛くて,残してしまいました。ここも子供には必ずクレヨンをくれます。明日は動物園(National Zoological Park)に行く予定。

 

9月2日(火)ズーパックの中身は,動物園でのパーキング無料券,地下鉄(Metrorail)1日パス($5),その他動物園での優待割引クーポン,ビスケット,ガイドなど。朝はゆっくりめに起きてホテルのシャトルでクリスタルシティの地下鉄駅へ。ワシントンDCの地下鉄駅は日本のに比べて,コンクリート打ちっ放しの壁やちょっと未来風のつくりで見方によってはかっこいいのですが,ほとんど明かりがないのでとても暗く怖いほどです。

Metrorail 1Day pass

地下鉄の一日パス

ワシントンの地下鉄駅構内

 ただニューヨークなどに比べると地下鉄の安全に関してはあまり問題ないようです。地下鉄の車中もとても清潔で,日本のように車内吊りの広告見られないのですっきりしています。路線システムは簡潔でわかりやすく,駅名もきちんとアナウンスされるので迷子になることは考えられません。

ワシントンの地下鉄駅構内

 

 動物園はスミソニアン協会(Smithsonian Institution)の一部で,ワシントンDC北西のロッククリーク(Rock Creek)公園の中にあり,地下鉄の駅(Woodley park-Zoo)からはコネチカットアベニューを3000番地になるまで歩いて約10分ほど。近くには日本大使館もあるようです。

 

 動物園の入園料は無料ですが,動物保護基金に貢献させるためか,駐車場や園内の食べ物などはちょっと高めです。今日は気温,湿度ともとても高く,季節的にはもう少し後がベストかもしれません。動物園の規模としてはそれほど大きなものではないので,散歩がてら出かけるのがよさそうです。

 

ワシントンDCの動物園入り口

 

ワシントンDCの国立動物園入り口付近

 

アマゾン館のイグアナ

 この動物園には,パンダがいるとのことでしたが,今日は飼育室の中に入ってしまって見学できませんでした。かわりにイグアナの写真を載せます。

イグアナ

 

 動物園の後は,スミソニアン博物館のうちの一つ,航空宇宙博物館に行ってみることにしました。議事堂(United States Capitol)からポトマック川までの西側部分は,札幌の大通り公園のようにThe Mallと呼ばれる公園が続いており,その両サイドに航空宇宙博物館をはじめとする9つのスミソニアン協会所属の博物館や国立美術館など様々な博物館や省庁が並んでいます。スミソニアン(Smithsonian)というのは,イギリスの化学者ジェイムズ・スミソン(James Smithson) が私財を寄贈したところからつけられた名前です。

The Mall

The Mall

(ショッピングモールではない)

ライトフライヤー 1階より

ライトフライヤー

 

 航空宇宙博物館には,ノースカロライナのキティホークで初飛行を行ったライト兄弟のライトフライヤーという飛行機の展示や,日本人にとっては非常に複雑な気持ちにさせられる第2次世界大戦をテーマにした部屋,広島に原爆(リトルボーイ)を投下したB-29エノラゲイの展示などがあります。そのほか,アイスクリームの宇宙食をおみやげ用に売るなどいろいろと興味深いところでした。各展示室にはテーマタイトルが付けられていて日本語でも表示があります(ちょっと変だけど)。年間900万人も訪れるだけあって,日本人を含むアジア系の旅行者も多く随分と人気でした。

 夕食は,クリスタルシティモールの地下にあるチャイニーズグルメ(水晶宮)というレストランで,簡単なコースメニュー,メインは豚,牛,エビのうま煮とホタテとブロッコリーの炒めもの。といっても一人10ドルほどで十分美味しかったのでとてもリーズナブル。こちらのまともな中華レストランでは食事の後にフォーチュンクッキーをくれるのが普通なようです。

 今日のテニスは,サンプラスが負けてしまいました。午前0時を越えてもまだUS OPENの試合(アガシAgassi対ラフターRafter)が生で放送されています。男子の解説はジョン・マッケンロー。お客さんも全く帰ろうとしていません。すごい。サービスのフォルトで拍手が出るところなんぞはアメリカ的。審判にたしなめられていますが。結局1時過ぎまで試合は続き,アガシが負けてしまいました。

 ワシントンDCの住民は,70%が黒人だそうです。そのためやはり治安はそれほどそれほどよくないそうで,チャペルヒルにいる時よりはまわりに気を配るようにしています。

 

9月3日(水)今日は天気が悪く,歩いて外に出るのは面倒なので,思い切って車でアーリントン国立墓地やワシントンの市内に行ってみることにしました。

 家内がいうには,福島から昨日東京に出てきたばかりの人が大手町を運転するような暴挙だとのことですが(福島の人ごめんなさい),せっかく車で来たのですから何事も体験です。地図をよく見てから行ってみることにしました。ところがハイウェーに出たとたんに訳が分からなくなり,アーリントン墓地に行くつもりが見失ってしまったので,急遽目的地を変更してWashingtonの表示のある方に進んだところ,あっという間に市内に入っていました。怪我の功名みたいですが,ビジネスでDCを訪れるのでなければ,クリスタルシティやアーリントンの方が便利でお薦めかも知れません。

ワシントンモニュメントから南をのぞむ

ワシントンモニュメントより南を望む

 

 The Mallをしばらくぐるぐる回って,ワシントン記念塔(Washington Monument)の北側に駐車場があるのが見えたので入ってみたら,まだスペースが空いていたので車を止めて,ここから見学を始めることにしました。

リンカーンメモリアルからワシントンモニュメントをのぞむ

 ワシントンモニュメントは,高さ555フィート(約167m),まわりに50本の合衆国旗がはためいています。日本のガイドブックでは,高さを167mと表記しているものもありますが,本当は5づくしのところに意味があるので,この部分だけはフィート表記でなくてはだめです。ちょうど12時からの回の整理券(無料)をモニュメントの東側にあるチケットブースでもらい,中に入りました。

リンカーンメモリアルから西に
ワシントンモニュメントを望む

 

 この塔の外観は古代エジプトのオベリスク( 方尖塔:obelisk)を模した,まるで綺麗な根管形成のお手本のような形の塔ですが,建物の中にはエレベータ一台が収まっており,500フィートの高さまで70秒で登ってくれます。中に入るまで気づきませんでしたが,外からよくみると小さな窓が東西南北に各2カ所ずつ開いているのが見えます。高いところからの写真はここから撮ったものです。ワシントンに初めて来たら,ガイドブックをちょっと読んでここに登って東西南北を確認するのが,一番手っ取り早く市内の様子を把握する方法だと思います。またワシントンD.C.では,ワシントンモニュメントがどこからでも見えるように高いビルは作ってはならないという法律があるそうです。リッチモンドより建物が低く感じたのはそのためなようです。

ワシントンモニュメントの整理券

ワシントンモニュメントの入場整理券

 

ワシントンモニュメントから北をのぞむ

 次は家内と娘が水族館好きなので,モニュメントの北東のなぜか商務省の地下にある国立水族館に行ってみました。大人2ドル,子供2歳から10歳は,75セント(ディズニーランドですら3歳からなのに,2歳から料金をとるのは,とても珍しい。しかも公立の施設で!)。公立の水族館としては全米で一番古いとのこと。そんなに広くはありませんが,意外と人が入っていました。毎日午後2時から鮫かピラニアの餌付けが見られます。

 

ワシントンモニュメントから北を望む

 水族館を後にしてホワイトハウスを裏側から眺めました。現大統領のクリントンは,42代目。子供ためにこんなwebサイトも開かれていました。日本の首相官邸には,こんな真似はできないでしょう。

 大統領官邸内に入るツアーもありますが,ツアーの整理券を取るために並ばないといけないのが面倒だし,それほど思い入れがあるわけではないので外から見ただけでワシントンモニュメントの西,リンカーンメモリアルに向かいました。

ホワイトハウスを裏から眺める

 

ホワイトハウスと裏庭を眺める

ワシントンモニュメントから西をのぞむ

 ワシントンモニュメントの西は約690mの長さのリフレクティングプール(Reflecting Pool)と呼ばれるタジマハールとベルサイユを模した池が続きます。

ワシントンモニュメントから西を望む

 CapitolとWashington MonumentとLincoln Memorialは,ほとんど正確に東西に直線上に配置されています。今日は途中から晴れてきたもののそれほど暑くなかったため散歩にはもってこいで,リフレクティングプールのまわりもジョギングをする人が絶えませんでした。ギリシャ神殿のような白亜のリンカーンメモリアルの中には,いすに座ったリンカーンの巨大な像が置かれています。

リンカーン像

 

リンカーン像

 

 近くにホットドッグやサンドイッチを売るスタンドがあったので一休み,駐車場に戻りました。後でAAAのガイドブックを読み直してみたら駐車は1時間までとなっていたので,少しひやっとしました。確かに帰る頃には警官が車のチェックをしていました。そう頻繁ではないにしろ,駐車時間には気をつけた方がいいかもしれません。ツアーモービルという観光のポイントを回ってくれる2両連結のバスもあるので,次回はこれも使ってみようと思います。

 帰りには,アーリントン墓地もざっと見ることができました。ホテルに戻って一休みしたあと,夕食に出かけました。ワシントンの南,南北戦争時の中心地アレキサンドリアを通って,ワシントンのガイドブックに載っていたシーフードレストランCaptain John'sに行ってみました。ビュッフェスタイルなのですが,メニューのどこにも料金が載っていなくて少しびびりましたが,一人約25ドル,お腹がめちゃくちゃすいているときでないとペイしないかも。タルタルソースと小エビのフライがうまかったです。

9月4日(木)最終日。九州歯科大学のN先生からチェサピークベイにかかる橋の話をお聞きしたので,ワシントンDCの帰り道にでも回り道をすれば,壮大な眺めが見られると思い,地図でルートを考えました。

 ワシントン環状線からメリーランド州の州都アナポリスを経て,アメリカの代表的な閉鎖性海域,溺れ谷として有名なチェサピーク湾を,まずチェサピークブリッジ(487.7m,1952年完成 $2.50)から渡って半島に入ります。

 

チェサピークベイブリッジ

チェサピークベイブリッジ

 

のどかなバージニアのハイウェー

 のどかなバージニアの景色を楽しみながらサリスベリーを経てチャールス岬までハイウェー約4時間。ここから再度チェサピーク湾の入り口のチェサピークベイブリッジアンドトンネル(28km,1964年完成)を渡ります。ここが今日のメインイベント。

のどかなバージニアのハイウェイ

 

ベイブリッジが見えてきた!

 アメリカの橋は地震が少ないせいか,どこもあっさりしていてシンプルな橋脚に道路を乗っけただけの「海を渡る道」という感じ。

 

海を渡る道

海を渡る道

 

工事中の橋

 でも,橋を渡り出すと見渡す限り海,海,海。よくこんなものを作ったなぁと思います。カモメも一緒に飛んでくれるおまけつき。あまりよそ見はできませんでしたが,十分堪能しました。橋は現在対面通行ですが,隣ではさらに片側2車線にするための工事が始まっていて,チャールス岬側はほぼできあがっていました。来年にはそれぞれ独立した2本の橋ができあがりそうです。

工事中の橋

 

 約20分のドライブで10ドル。いい体験をしました。地図では大したことがないように見えたのですが,ここを回ったおかげでフリーウェイまでの道がかなり遠くなってしまい,ノーフォークからチャペルヒルに帰り着くまでにさらに5時間かかってしまいました。まぁあんなすごいもの一生に一度しか見られないだろうし,日本で10時間運転することに比べれば,大したことはないです。夕食は,軽くカレーライス。

 

海,海,海

海,海,海,見渡す限り海!

 

 

今回の経路


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リンク

MapQuest:http://www.mapquest.com/
エンバシースウィートホテル:http://www.embassy-suites.com/
カリフォルニアピザキッチン:http://www.cpk.com/
National Zoological Park:http://www.si.edu/natzoo/
スミソニアン協会(Smithsonian Institution):http://www.si.edu/newstart.htm
航空宇宙博物館:http://www.nasm.si.edu/
モール周辺の地図:http://www.si.edu/organiza/mallmap.htm
ノースカロライナのキティホーク:http://www.kitty-hawk.com/
ライト兄弟:http://www.outerbanks-nc.com/wrightbrothers/wrightlc.htm
ワシントン記念塔(Washington Monument):http://sc94.ameslab.gov/TOUR/washmon.html
ホワイトハウス:http://www.whitehouse.gov/WH/Welcome.html
子供ためのホワイトハウスホームページ:http://www.whitehouse.gov/WH/kids/html/home.html
リンカーンメモリアル:http://sc94.ameslab.gov/TOUR/linmem.html
チェサピーク湾:http://155.206.19.100/NCBOhome.html