帰国ガイド
<まわりのアメリカ 目次>
帰国を決めた瞬間から,引っ越しの準備などで忙しい日々が始まりますが,1〜2年間の留学なら,アメリカに来るときより,自分の育った国に帰る方が,精神的にも物理的にも楽なはずです。企業からの派遣の場合のように,滞在期間の見通しがたたない上に,急な異動で帰国しなければならないケースにも対応できるように,普段からある程度帰国を考えながら,新たなものを購入したり,家の中を整頓しておくようにしましょう。
この項では,HAMACHI!家での帰国までのどたばたを元に,時系列を追ってモデルプランとガイドをまとめます。
モデルプランの概略
滞在期限の確認,ムービングセール,車,アパートの契約の再確認
飛行機のチケット手配,荷物の仕分け,引っ越し業者の選択,見積もり,その他
段ボール箱への梱包,銀行,各種契約の解除通告,請求書送付先住所の変更,郵便物の日本転送手続き,ビデオテープのリストづくり,税金の始末,おみやげ物,ホテルの予約,仕事の始末
引っ越し荷物のリスト作成,衣類の洗濯と選択,在留届の抹消,日本人会への退会届,空港までの交通手段の確保,挨拶まわり
アパートの掃除,部屋の確認など
鍵の返却など,安全運転
ビザの滞在期限を確認しましょう(Jビザ所持者の場合は,IAP-66の期限)。IAP-66は,1週間という短い期間でも,延長することは可能です。ビザを申請するときに比べれば,申請者本人がアメリカにいるので,必要な書類は,簡単にすぐ揃うはず。ビザの期限が切れてもIAP-66がそれ以降有効なら問題ありません。
ムービング・セール(Moving Sale:引っ越しセール)を始めます。売却予定の品目をリストにしたチラシや張り紙も作ります。チラシに写真をつけると効果的。HAMACHI!家のMoving Sale Listを見本にどうぞ。引っ越しが多い季節(4月〜5月)なら,売れ行きはある程度期待できますが,それ以外の時期は,少し早めに行動し始めること。
売却希望価格はあまり高くしすぎないこと。売れることとリサイクルが目的です。日本では着ることのない様な服や日本家屋にそぐわない家具などは,思い切って手放すことを考えましょう。さもなければ,お金を払って日本にゴミを持ち帰ることになります。
ムービング・セールは,帰国するまでの間,興味のある人から問い合わせがあったら,その都度,家まで見に来てもらい,気に入れば買ってもらうという形態が多いようです。職場,日本人コミュニティーでも斡旋してもらえるでしょう。ただ,ある程度いっぺんに売りさばきたい場合は,日時を決めて,ヤードセールまたはガレージセールとして地元新聞や学内新聞のClassifiedのページに広告を出します。
アパートの郵便受けやスーパーの掲示板など,人が見る機会の多そうな所を選んでムービング・セールの張り紙を貼りますが,日本人がたくさんいる地域なら,インターネットでムービング・セールのお知らせをするのも効果がありそうです。その他,職場や学内のメーリングリストにお知らせを送るなど,考えられる手段はいろいろと試してみましょう。また,アメリカ人以外のコミュニティに知人がいれば,その人のグループにも声をかけて貰いましょう。
早く車を売りたい場合や車だけ売れ残ってしまった場合は,車だけの張り紙を別に作ります。写真はなるべくつけること。その際,「ムービングで帰国のため」と一言付け加えておくと,「まだ新車なのに何故売るんだろう?」と不審に思われることがありません。一番重要な書類は,タイトルと呼ばれる車の所有証明書です。家にあることを確認しておきます。
車は,ギリギリ(できれば最後に空港へたどり着くまで)まで使えたほうが便利なので,個人売買の場合は必ず交渉してみること。KBB等で価格の下調べもしておくこと。最終的に個人売買で買い手がつかなければ,中古車ディーラーに安く買いたたかれる覚悟もしておくこと。離米まで時間がある場合は,レンタカーを借りることになります。支払いや譲渡の手続きは,さすがに当日の空港ではできませんので,それまでに済ませておきます。自動車保険は,自分と相手の加入期間が重なるようにしておきます。個人売買の場合,どたキャンされると目も当てられないので,全額先払いもしくは売値の半額程度を手付け金としてもらっておくこと。その際,よく知っている人でなければ,パーソナルチェックで貰うのは避け,現金か銀行振り出しのサーティファイドチェックで貰うこと。
アパートの契約書を確認。いつまでに立ち退きを知らせればよいか,直接マネージャーに訪ねておく。通常は,1〜2カ月前までに,大家に文書で契約の解除を申し出ることになっています。
飛行機のチケットを手配します。1年間オープンなどの特殊なチケットで渡米した人は,期日を確認しましょう。
持ち帰るものとそうでないものは,リストなどを作りながら,漠然とでもよいので分けておきます。持ち帰るものについては,船便と航空便,携行品の仕分けもしておきます。船便は約40日以内には着きますが,すぐに必要としないものだけを入れるようにします。本当に大切なものは,携行品にすること。名のある業者を使っても,途中で荷物が行方不明になってしまうことがあるという話を聞きます。アメリカにいるうちに,日数のかかる船便の分だけ,先に送ってしまうこともできますが,船便,航空便一緒に送り出すよりは,引っ越しの手間が少し増えます。
単身で渡米したケースなどで引っ越し荷物がごく少量の場合を除いては,引っ越しを業者に頼むことになるでしょう。郵便小包などで安く済ます方法もありますが,引っ越しのドタバタの中,自分で書類を書いたり郵便局まで何度も往復したりするのを考えるとあまりお勧めではありません。自分たちの他に人を頼まないといけないことや業者と違って見積もりがないので予算の見当が付かないのも欠点です。
引っ越し業者に依頼するときには,まず見積もりに来てもらいます。引っ越し業者も忙しくなるピーク(3〜5月)の時期には,少し早めに見積もりと引っ越しの日程を決めた方がよいでしょう。但し,あまり見積もりが早すぎても,日本に持って買えるお土産分が確実に増えるので,その場合見積金額+追加料金を取られるかもしれません。業者の見積もりが来るまでに,荷物のパッキングをしておく必要はありませんが,日本に持って帰るものとアメリカで処分するものは,それまでにきちんと決めておくこと。
ノースカロライナに営業所がある日本の業者は,ヤマト,西濃,日本通運などです。業者によっては,不要品の引き取り,近隣地区へのムービングセールで売った荷物の輸送,引っ越し後の清掃などもしてくれるオプションを用意しているので,職場で特に指定の業者が決まっていなくても,アメリカ現地の引っ越し業者を選ぶより,いろいろと手慣れている日本の業者に依頼した方が賢明です。通関の手続きなど詳しく教えてもらえるので,言われた通りにしておけば安心です。時間的な余裕があれば,数社に見積もりを頼みます。日本の業者以外に頼む場合は,電話帳(Yellow pages) のMoversの項で調べます。
見積もりの容積(cft:cubic feet),保険率などから比較検討。航空便は重さで,船便は容積で料金が決まります。予め帰りに使う航空会社に,携行品として機内または貨物室に持ち込む荷物の大きさ,重さ,個数の制限とその制限を越えたときの料金を問い合わせておきます。
アメリカでコンピュータを購入した場合は,モニタや本体が梱包されていた段ボール箱は,引っ越しまで保管しておくこと。ハードディスクなどは振動に弱いので,万が一のために,引っ越しまでにバックアップを取っておくか本体から抜いて手荷物で持ち帰ること。
クリスマスリースなどドライフラワーは,日本での検疫が必要になります。没収されることもあるので,できれば諦めましょう。その他,日本への持ち込みが制限されているものにも注意しましょう。
引っ越し業者から段ボール箱が届きます。壊れ物の梱包は,業者がしてくれます。自分で梱包して壊れても,補償はされません。
銀行。銀行口座は,希望すれば帰国後も残しておけます。NationsBankの場合,口座の残金が500ドル以上あれば,口座維持費やチェックカードのマンスリーフィーを請求されることはありません。口座の残高に変化があれば,日本まで毎月レポートも送ってくれます。国際郵便のタイムラグさえ気にならなければ,アメリカにいるときと同様に使えます。帰国後に送られてくる請求書もあるので,しばらくはアメリカに口座を維持していた方が何かと便利。その際小切手帳に記載されている住所を,日本の住所にして,新しく小切手帳を作り直しておくとよいでしょう。もちろん日本からアメリカの銀行口座を閉めることも可能です。
各種契約の解約(Termination)通知と最後の支払いの請求書の送り先を知らせる,アパート,レンタル家具,電気,水道(アパートなら家賃に含まれている),電話,ケーブルテレビ,車の保険,新聞,海外旅行者保険,AAA,各種学校等
クレジットカードの停止と請求書送付先住所の変更。これは,日本の住所でOKですが,請求書をもらってから,チェック送付までの期日が近い場合には要注意。できればアメリカ国内にいるうちに最終の請求書を送ってもらう方が安心ですが,普通は契約を停止してから請求書が送られてくるまでアメリカに長居できる人はそういません。日本への請求書の転送は時間がかかるので,期日に間に合わないことがあるので,予めカスタマーサービス等に,連絡を入れておくと安心。
郵便物の日本転送手続き:様々な請求書の送り先を日本に変更したのにも関わらず,以前の住所のまま請求書を送る会社はいくらでもいます。郵便物の日本への転送の手続き,転送料とも無料なので,最寄りの郵便局で手続きを済ませること。
電話は,引っ越し直前まで使えた方が便利です。電話や家賃など,新規契約時にデポジットを支払っている場合は,その処理について決めておきます。例えば,最後の月の支払いに充てる,小切手で日本に送金させる,など。
日本に持って帰るビデオのリスト作成します,フロッピーディスクについても同様です。
税金の始末:自分がアメリカを離れた後の,税金の申告手続きについて,地元のオフィスに問い合わせておくこと。
おみやげ物のリスト作りと買い物を始めます。
帰国1週間前くらいまでには,アメリカでの仕事を一段落させます。
引っ越し直後に帰国するのでなければ,ホテルに移って気持ちの整理をする余裕が欲しいところ。引っ越しの作業が終わった後にアパートに残るのは,いろいろと不便です。ホテルの予約をしておきましょう。
引っ越し業者からもらった段ボールに荷物を詰め始めます。内容物のリストと評価額の記録,自己評価額の記入しておきます。後でこの評価額を元に保険をかけることになります。
まとめにくい小物などは,書類整理用品などを購入してひとまとめに整理しておきます。
たぶん,お別れパーティに呼ばれることが多くなるので,荷物づくり,片づけの計画も余裕を持って。
引っ越し当日から帰国までに着用する衣類の選択。
在留届の抹消手続き
日本人会への退会届
空港までの交通手段の確保
お世話になった人たちへの挨拶まわりと Thank you cardなどを用意しておきます。
業者が来るまでに,壊れやすいものを除いて,段ボール詰めの作業を終わらせておければ,完璧。
業者からは,別送品の手続き,日本の税関での通関手続きについても詳しく教えてくれます。
食事を作る暇も,食糧の備蓄もないはずなので,適当なものを用意しておきます。ファーストフードのテイクアウトなら手間がないでしょう。
引っ越しと帰国を同じ日にしてしまうと,かなりスケジュール的にはハードになります。アパートはそのままにして,昼間後片づけをして,夜はホテルなどに滞在すると楽でしょう。レンタル家具も引っ越し当日までに取りに来てもらいます。
車の売却と引き渡しを帰国までに済ませてしまう場合は,レンタカーを借りておくか,友人などに見送りの手配を頼んでおきます。子供がいる場合は,チャイルドシートも最後まで使えるように,アレンジできればなお良し。
アパートの掃除,部屋の確認(現状復帰),鍵の返却は,帰国日までにすませておきます。当日でも可能ですが,朝早く空港に向かう場合は,オフィスが開いていないので,マネージャーに予め確認しておくこと。
デポジットの返却または送金,クリーニングフィー分は差し引かれます。
空港でレンタカーを返却して,空港カウンターでチケットを搭乗券にかえ,機上の人となります。
9/4/'98
本当に,最後は,死にそうに忙しかったんです。
それなのに,「こんなに詳細な帰国ガイドまでまとめてくれて,よく頑張ったね」とちょっとでも認めてくださる方は,バナークリックして下さいませ。
メールはこちらへ
ヤマト:http://www.kuronekoyamato.co.jp/
西濃:http://www.seino.co.jp/
日本通運(アメリカ):http://www.nittsu-usa.com/
NationsBank:http://www.nationsbank.com/