アメリカでの確定申告(Jビザ保持者用)

まわりのアメリカ 目次


以下の全てに当てはまる場合の申告書の書き方をまとめてみた。


J-1 Statusの納税義務と申告義務

 渡米時に,給与をアメリカからもらう人は,税金の免除のための書式を州と国に提出させられたはずだが,これは月々の給与から源泉徴収されないための書類と考えること。日本国内での収入に関係なく,アメリカ国内での所得がある人は,確定申告義務が発生する。J-1 Statusの場合,納税義務を免除してもらうために,免除された金額を確定申告をする義務がある。また免除されるのは,アメリカでの教育機関における教育又は研究による所得についてのみ。貴重な体験をさせてもらって,しかも所得税は無税というのはありがたい話だ。

 米国内に1tax year(1月から12月まで)のうち,183日以上滞在していればグリーンカードが無くても,税制上はResident Alien(居住者)と見なされるが,J-1 statusの研究者は,exempt individual(日数計算を除外される個人)として nonresident alien(非居住者) と見なされる。そのためアメリカでの収入のみが課税対象になる。つまり、日本から支給された給与等はアメリカの課税対象として考えなくて良い。州税の申告も同時にする必要があるが,州によっては,Jビザでも税金が取られてしまうところもあるようだ。研究施設に外国人のための事務処理をする部署がある場合は,そこで確認すること。

(J-1 statusでなければ,居住者扱いされるため,国外での収入も報告する義務がある。日本の税務署に問い合わせたところ,日本での確定申告はしなくて良いと言われたので,厳密には,J-1 statusの立場でアメリカで申告すれば,日本での収入も報告しているものと見なされるようにも思えるが,ちょっとこの辺は,グレー) 

申告用紙と説明書

 J-1 Statusの研究者でアメリカから給与が多少でも出る場合は,Form 8843とForm 1040NR,または1040NR-EZ(子供がいる場合は,自動的に1040NR,子供がいない場合または独身の場合は,1040NR-EZが使えるようだ)。また日本人の場合,日米租税条約の恩恵を受けるために,Form 8833 Treaty-Based Return Position Disclosure,8840 Closer Connection Exception Statement for Aliensという用紙を1040NRに添付する(必要ないという話もあるのでこのあたりは,ちょっとグレー)。

 さらに州税の申告書(ノースカロライナでは,D-400というFormになる。非居住者はD-400EZは使用不可)を提出する必要がある。J-1 Statusの研究者やその家族などで,アメリカからの所得がない場合はForm8843を提出するだけでよい。

Form記載に必要と思われる印刷物の例

Publication 519:U.S.Tax Guide for Aliens(Cat. #15023T)外国人用税金の手引き

Instructions for Form 1040NR(Car.#11368V):1040記入の手引き

Publication 901:U.S.Tax Treaties(Cat. #46849F)租税条約

ソーシャルセキュリティーナンバーとITIN

 1996年より,J-1の家族(J-2 Status)には,ソーシャルセキュリティーナンバー(Social Security Number;SSN)が発給されなくなったが,誰でも申告義務があるため,SSNに代わるITIN(Individual taxpayer identification number)をIRS(Internal Revenue Service;財務省内国歳入庁)で申請する必要がある。ITINは,IRSオフィスに置かれているForm W-7で申請する。申請中で,Form記入時にまだナンバーがわからない場合は,申請中と記入。ITINの申請は,意外と忘れがちなので,要注意。

2003年12月からITINの取得申請が 確定申告の時期にしかできなくなりました。 確定申告以外の目的(つまり運転免許取得など)に ITINが請求されるのを防ぐためにIRSが規則を変えたためです。 一方でNC州DMVは SSNを取得できない外国人に依然として ITINを要求しています。 このためごく最近渡米してきたJ2ホルダーなど、 これから約1年間、州の運転免許を取れない 状態になっています。(SMさんから情報をいただきました。ありがとうございます!2004/04/02)

申告期限とTax year

1997年のtax yearの申告は,1998年4月15日(消印有効)までに申告する。
Tax yearとは,Jan 1st 〜Dec 31stを指す。
全ての書類は,コピーをとって,3年間保存しておくこと。

申告先

連邦税

Internal Revenue Service Center, Philadelphia, PA, 19255

州税(North Carolina州の場合)

Refundが必要ない場合:N.C. Department of Revenue P.O.Box 25000, Raleigh, NC 27640-0640

Refundが必要な場合:N.C. Department of Revenue P.O.Box R, Raleigh, NC, 27634-0001

租税条約

 日本とアメリカの間で所得税に関する条約(租税条約)があるため,J-1ステイタスの研究者はこの恩恵を受けられるよう申告する。日米租税条約の第19条(Article #[19])に当てはまる。学生のJ-1ビザStatusの場合は,第18条になる。

住所変更

Form8822によること。


申告の実際


Form 1040NRで報告する事項

  1. 氏名,アメリカと日本の住所,SSN,配偶者と子供の有無
  2. パスポートが発行された国,ビザのタイプ(J-1)
  3. 対象年度
  4. 対象となるtax yearとその前年度,および前々年度におけるアメリカの滞在日数
  5. 永住権申請の有無
  6. 租税条約の免除項目を特定するための条約番号,仕事の内容など

Form1040NR(Non-Resident用)の内容を,順を追ってみていく。

ページ1

ページ2

ページ3

ページ4(ページ3の裏面)

ページ5 Other Information

  1. Japan
  2. No
  3. 入国の目的は,IAP-66の4.に書いてある Research in Dentistryなどを記入。
  4. にはJ-1と記入。Current visaもJ-1と記入。
  5. には,入国した日を記入。月/日/年(下二桁)
  6. は,Noにチェック
  7. は,N/A
  8. は,アメリカの滞在日数を記載
  9. は,Noにチェック
  10. は,以前に申請していなければ,Noにチェック
  11. は,N/A
  12. は,Noにチェック
  13. は,Country Japan 22.に記入した額を記入し Compensationとする。Research目的なら,Article #19とする。他は,N/Aとする。No二つにチェック
  14. は,N/A
  15. は,No
  16. は,No二つにチェック




Form 8843で報告する事項(家族の人数分の枚数を提出すること)

  1. 氏名,住所,SSN,ビザの 種類,ビザ番号
  2. パスポートが発行された国,パスポート番号
  3. 対象年度
  4. 対象となるtax yearとその前年度,および前々年度におけるアメリカの滞在日数
  5. 永住権申請の有無
  6. 対象となるtax yearに勤務していた研究施設および部署名,住所,電話番号
  7. 対象となるtax yearに勤務していた研究部署の担当ディレクターの氏名,住所,電話番号
  8. 過去6年間に所有したことのあるビザの種類,など

以下順を追ってみていく。




州税Form D-400

連邦税の用紙に記入し終わってから書き始めること。 

Form D-400で報告する事項

  1. 氏名,アメリカと日本の住所,SSN,配偶者の名前とITIN
  2. ノースカロライナでの収入

Form D-400(Non-Residentは,D-400EZは使えない)の内容を,順を追ってみていく。




Form 8840 Closer Connection Exception Statement for Aliens

連邦税,州税の申告用紙に記入してから,書き込みを始めること。 

Form 8840で報告する事項

  1. 氏名,SSN
  2. パスポートナンバー,ビザの番号,アメリカの滞在日数
  3. アメリカでの滞在場所,自分の車のある場所と車を登録した場所,免許証の取得地
  4. 日本での納税を証明する書類の添付

1040NRに添付して申告するので,表紙の住所と裏面の署名欄には記入しないこと。


日本の税金関係

183日

住民税の取り扱い


これだけ書いておいて,何だと思われるかもしれませんが,以上の文章については,1998年度以降,項目,番号などの変更が十分予想されます。また,現在においても誤りが含まれている可能性があるので,正確を期するためには,専門家に問い合わせることをお勧めします。もし,間違っているから,教えてあげるという奇特な方がいらっしゃいましたら,メールをお待ちしてます。

昨年度の申告書類を快く見せて下さったYさんに心より感謝します。足りない部分を指摘していただいたNさんに心より感謝します。

4/14/'98更新