ちょっと乱暴にいうと,日本のお盆にあたる「万聖節(Hallowmas, All saints' Day)」の前夜祭のこと。もともとは2000年以上前のケルト人の宗教的行事で,秋の収穫を祝い,亡くなった家族や友人達を尊び偲ぶものが,後にキリスト教に取り入れられたようだ。アメリカでも公式な祭日ではないけれど,今ではクリスマスに次ぐアメリカのフェスティバルとなり,イベント好きなアメリカ人の約50%の人がお祝いをするとのこと。ちなみにクリスマスは80%。ハロウィンは,毎年10月31日に行われるが,休日ではない。
夜になると窓辺やテラス,玄関などにおかれたJack-o'-Lanternと呼ばれるかぼちゃに顔を彫ったちょうちんに火を入れ,子供達は"Trick or Treat!(なんかくれ。さもなきゃ悪さするぞ)"と近所の家の玄関を叩いては,お菓子をもらい歩き,大人も子供も,おもいおもいのグロテスクな仮装や奇抜な格好をして,町を練り歩く。アパートより一軒家の方が子供達(Trick-or-treater)がたくさん来るようだ。家によってはあらかじめお菓子を小分けにして何十個(!)も用意しておくとのこと。子供達から"Trick or Treat!"といわれたら,"Happy Halloween!"と応えてお菓子を渡すのだが,個人的には,お菓子を子供にあげなかったときの悪さもちょっと見てみたいと思うのは,ひねくれた見方だろうか?
手作りのお菓子は,毒物の混入事件があったこともあり,あまり喜ばれないので,スーパーなどで手に入る市販のお菓子が基本だ。もちろんこの時期,ハロウィンバージョンのお菓子も山ほど売り出され,消費者の購買意欲を刺激する。子供達は,お菓子を入れるためのプラスティック製カボチャなどの容器を用意する。
ハロウィンの由来と歴史
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おばけカボチャ(Jack-o'-Lantern)の由来 |
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なぜこのカボチャをJackと呼ぶかについては,「けちんぼジャック」と呼ばれる意地の悪い男が,彼を黄泉の世界に連れて行こうとした悪魔をうまいこと騙したというアイルランドの伝説が有名だ。飲んだくれのJackが最期の飲み代が払えないからと悪魔の姿を銀貨に変えさせて自分の財布に閉じこめ10年間は彼の命を取らないと約束させられ,その10年後に現れた悪魔に,林檎が食べたいと林檎の木に登らせた上に,十字架を木に彫り込み身動きできなくさせ,その引き替えに魂をとるのをとうとう諦めさせた。(この悪魔,妙に間抜けで親しみを感じる)結局,ジャックが死んだ後,彼の生前の悪事のため天国にも行けず,地獄の門にたどり着いても,悪魔とのいきさつのおかげで,魂もとれないので地獄に落ちることもできず,道しるべにと石炭の明かりをともしたカブを持たされ,罪を償うためにこの世とあの世を行き来しつついつまでも暗い道をさまよい歩き続ける羽目になったという話から,Jack-o'-Lantern(ちょうちんのJack)と呼ばれ,呪われさまよう霊魂の代名詞ともなったとか。アイルランド人達は,カブやポテトやビートなどをこの材料に使っていたのだが,その後アイルランド人がアメリカに渡ってきて,カブよりも大きくもっと完璧にしかもカラフルにちょうちんを作れるカボチャを見つけたのだそうだ。
余談だが,日本で狐火とか鬼火と呼ばれるモノをさすときにも,英語では"Jack-o’-lantern"という言葉が使われる。
またハロウィンの夜に恐ろしい仮装をするのは,家のまわりを徘徊し人間にとりつこうとする悪霊達が,その姿を見て驚いて逃げるようにするためだったそうだが,お化けの格好をした子供達が近所の人を脅かしお菓子をもらうようになったのはわりと最近で,40年ほど前のことらしい。死者の霊魂を鎮めるためのお供えをしたのが”Trick
or Treat"の始まりとも。悪霊を追い払うための仮装なのか悪霊そのものに仮装しているのか,もうごっちゃになっているようだ。
さて,アメリカでも物騒な地域では,子供が犯罪に巻き込まれるのを防ぐため,親が同伴したり,安全な地域の住宅街まで車で送ったり,学校が子供にTrick-or-treater証明書を発行して,これがないと家庭訪問ができないようにするところもあるとのこと。僕らの住むノースカロライナ州・チャペルヒルは全くそんなことはないが,安全にTrick-or-treatするためのクイズとガイドライン(どちらも簡単な英語サイト)などもインターネットで見られる。日本では,なぜかクリスマスやバレンタインデーほどには定着しないので,いっそのことお盆と一緒にしちゃうってのはどうだろう。あと,カボチャを食べる冬至も一緒に(できないって)
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