まわりのアメリカ 1月<ウィリアムスバーグ特別編>
1月19日の月曜日が休日(キング牧師;Martin Luther King, Jrの誕生日)でアメリカ中が3連休になるので,ちょっと遠出をすることにした。今回はノースカロライナ州のすぐ北にあるヴァージニア州の,ウィリアムスバーグという町を選んだ。ここは,アメリカ合衆国がまだイギリスの植民地だったころの首都で,リッチモンドやワシントンDCに首都が移ってからはそのまま廃れつつあった町なのだが,財閥ロックフェラーの援助により18世紀当時の町並みや暮らしを蘇らせた観光地である。
アメリカの歴史といってもたかが200年やそこらなので,歴史が浅いというコンプレックスからか,アメリカ人の歴史にかける情熱というのは驚嘆させられる。アメリカにはそこら中にHistorical Placeがあり,歴史の本は溢れるほど出版されている。その中でも今回行った"コロニアル・ウィリアムスバーグ"は特に,町中が現在も18世紀のままの生きた博物館として,日本で言えば「明治村」のような場所として(*注江戸村のようなテーマパークじゃないよ)有名な場所だ。
いつものようにインターネットで,ウィリアムスバーグのサイト(ドメインネームも電話番号もWilliamsburgじゃなくてHISTORYというところからも「歴史」に力が入っているのがわかる)で大体の施設やイベントの様子をつかみ,ホテルはtravelwebでオフィシャルホテルでもあるウィリアムスバーグ・ロッジに予約を入れた。さすがに冬はオフシーズンなので,レートも比較的安いものが見つかりました。出かける前には,AAA(ノースカロライナはここ)で目的地までの便利なリーフ地図にマークを入れてもらい,念のためMapQuesetでDrive guide(Trip Quest)を確認しておいた。ここへはワシントンDCに行く時にも使うI-85を北上しI-95に合流した後,バージニアの州都リッチモンドでI-64を東に向かうだけなので,道順も割と簡単。チャペルヒルからは,片道約350Km,約3時間半ほどで着く。
僕の大学時代の同級生で友人のS先生が昨年の秋より,DCよりちょっと離れたメリーランド州で留学中しているので彼に連絡したところ,S先生ファミリーもこの連休でどこかに行こうと計画していたところだったそうで,こちらでご家族と一緒に合流することになった。
1月17日(土):実際には,近道をするためちょっと複雑な道を通った。I-85からI-95に合流後,一般道を経てI-295を少し北上した後リッチモンドまで行く途中で降り,I-64と平行に走る一般道(5号線)を走ってみた。バージニア州は,アメリカ独立後の南北戦争(こちらではCivil Warと呼ばれている)でも戦場になった場所が多く,ウィリアムスバーグに着くまでにも,Battle Fieldが史跡として所々に残されているのを見ることができた。また南部に特徴的な広大な農場,プランテーション(当時は奴隷制度によって成り立っていた)がジェームズ川に沿ってそこここにあるので,ノースカロライナとはまた趣の違う風景を楽しみながらドライブすることもできた。緑の多い季節ならかなり快適なことだろう。
ウィリアムスバーグ・ロッジは,ウィリアムスバーグにある4つのオフィシャルホテルの中では一番大きなホテルでヒストリックエリアに隣接したすぐ南にある。ホテルの従業員は18世紀当時のイギリス風の扮装で働いている人もいて,雰囲気をもり立てている。ホテルの中には,鳥や動物の木彫りの壁飾りなど,ゲストルームにはデコイが置かれるなど,いくぶん女性向きの落ち着いた雰囲気。ゲスト用シャトルバスもホテルの目の前にとまるので,観光の拠点としても便利なロケーションだ。ホテルのゲストには無料で朝はコーヒーか紅茶,夕方はアップルサイダー(リンゴジュースのこと。しかもホット)が無料で用意されている。ホテルに着いた頃には,もう暗くなってきたので,ちいさな子供のいる家族でも食事のできる場所をコンシェルジェにいくつか紹介してもらい,その中からウィリアムスバーグの施設内にあるマーチャントスクェアショッピングセンターの"シーズンズ"というアメリカ料理のレストランにS先生達と一緒に出かけた。チャウダースープ,プライムリブのサンドイッチ,オニオンストリングス,クラブケーキなどをいただいた。味はまぁまぁだったのだが,油がちょっときつくて,後で胸がちょっとつらくなった。明日のために,どの施設にも入れるパトリオットパス(1人$33)というチケットをホテルで購入した。6歳以下の子供は無料。
1月18日(日):朝食を遅めにとり,お昼頃から散策を始めた。まずは一番有名な場所,総督公邸に向かった。ここはアメリカ独立前にイギリスから派遣された総督が住んでいた場所。門を入ると,一定の人数が集まるまで別室で待たされ,グループで邸内をガイドしてくれる。値段の付けられない程高価な調度品などがあるということで,自分たちで勝手に見て回ることはできない。玄関を入ったところの壁と高い天井にある,銃と剣を数え切れないほどたくさん使った飾りには,きな臭さを感じつつも圧倒された。そのほか寝室や広間,ダイニングルームなどを説明しながら見せてくれるのだが,日本人の子供には全く興味の湧かない場所なうえ,20分以上続くガイドツアーの途中で抜けることが難しいので,子供がむずがったりすると厳しい所かもしれない。
そのあと町の真ん中にある武器,弾薬庫をみて,メインストリートをところどころひやかしながら議会堂まで歩いた。メインストリートの端から端までは歩いて15分ほどだが,エリアの外側をシャトルバスが走っているので,これに最初に乗って簡単なガイドを聞いておけばオリエンテーションになって便利かもしれない。遅めの昼食を当時の旅館を再現したというKing's arms tavernでとった。ここではバージニア名産ピーナッツのスープが有名だということで,これとフライドチキン,フライドオイスターサンドイッチなどを注文した。パンもけっこううまく焼けていました。
ここは,アメリカ独立に特別な感慨を持つことのできる歴史好きのアメリカ人や,ニューヨークなどの現代的な都会から来た人にとってはたまらない場所なのかもしれないが,18世紀の町並みといっても下手をすると似たような造りの建物は,チャペルヒル周辺でも数こそないものの,見かけることができそうなほどで,僕には残念ながらそれほど古さを感じることができなかった。もうちょっと予習していけば良かったかなぁ。
まぁ,今日のところは歴史探訪をこのくらいにして,20世紀に戻ることにする。この後,ウィリアムスバーグから約15分ほどのところにある,バークレーコモンズアウトレットセンターに出かけた。ウィリアムスバーグ観光の目玉は,実はここではないかと思うほどの人で賑わっていた。日本語も時々聞こえてきたので,けっこう有名な場所なようです。Nike, Reebok, Coach, Ann Klein, Brooks Brothers, Guess?, Eddie Bauer, Royal Doultonや,なんとスピーカーのBOSEまで店を出していたのには驚いた。全部で60店以上あるので,買い物の好きな人ならここだけでも半日は過ごせそうだ。またこの近くには,ポロやフィラのアウトレットのあるモールもあった。夕食は,名もないカフェで軽くサンドイッチなど。
1月19日(月):朝からザーザー降りの雨。18世紀の都市に日本の商店街のような快適な屋根が付いているはずもなく,雨の日は,この町を歩き回るのに,ちょっと不向き。どこの施設も午前11時からオープンなので,ホテルのチェックアウトを済ませて,ヒストリックエリア内のランバーハウスという場所まで行き,写真を撮ってチケットに顔写真を印刷してもらった。このチケットはなんと1年間有効。チケットが無くても町を歩き回ることはできるが,建物の中には入れないことになっている。でももう来ないかもしれないなぁ。精神科の病院だったという建物は外観こそ18世紀っぽく建ててあるものの,中身は思いっきり20世紀風の美術館になっていた。患者の病室や拘束衣,その他の道具もその一角で展示してあった。その後裁判所や教会に立ち寄ったりしたが,雨が全く止まず,子供が眠くなってきて騒ぐので,適当なところで切り上げてウィリアムスバーグを後にした。
最後に
今回はちょっと贅沢にオフィシャルホテルに泊まったが,ウィリアムスバーグのオフィシャルホテルは,どこもちょっと格式張っていて,僕たちにはちょっと窮屈な感じがした。もうちょっとホテル慣れしないといけないなぁ。一番美味しいというフランス料理の☆☆☆☆レストランが,ウィリアムスバーグ・インにあるのだが,ここはジャケットとタイ着用とのことで,子連れではとても行ける場所ではないし,ベビーシッティングを頼んでまで行く気にもなれなかった。エリア外には沢山のチェーンホテルといろいろな種類のレストランがあるので,ちょっと車に乗るのが面倒でなければ,かなり選択肢が増える。チャペルヒルの家に帰ってきて中華のテイクアウトでほっとしたのは,何を隠そうこの僕。
きっと高校で世界史を習ったばかりの頃の僕なら,少しはアメリカの独立にまつわることを覚えていたりして,ウィリアムスバーグを興味深く見ることもできたかもしれない。でももう20年近くも昔のこととなると記憶の遥か彼方になってしまっていて,ちょっとガイドブックやwebを読んだ位の知識では,200年くらいの昔を楽しむまでに至らなかった。たぶん天気が良くて,暖かい頃ならBusch Gardensという遊園地なども開園しているので,もうちょっと違った印象をもったかもしれない。家内は意外と満足げだったので,人によって印象は異なるようですが,アメリカ人の歴史観を知るためには,良い場所であることは間違いない。
アメリカに渡ってきた移民達は,それぞれの国のバックグラウンドとなっている自分たちが誇る歴史があることは紛れもない事実だと思う。アメリカ人達が,自分たちの歴史的バックグラウンドを再現すべく努力しているのは,認めなければいけないと思うのだが,ウィリアムズバーグを見る限りでは,この地から始まった歴史の方を大事にしているように思えて,少し違和感を覚えてしまったのだと思う。
(今回は,デジタルカメラを忘れてしまったので,画像は全て借り物です。そのためきちんと表示されないことがあるかも知れません。あしからず。)
メールはこちらへ