人間ドックを受けてきました。
完全な結果が出るのは,2〜3週間後なのですが,ついでに,今シーズンはやや出遅れた感もありますが,インフルエンザの予防接種も,してもらいました。
インフルエンザのワクチンの効果が現れ始めるのは,接種してからおよそ2週間後が目安とされています。
今期のインフルエンザ流行の傾向(2025年11月現在)
1. 流行の開始が早い
例年より早期に増加: 例年、インフルエンザの流行は12月頃から始まりますが,今期は9月頃から患者数の増加が報告され始めており,例年よりも早い時期に流行が立ち上がっています。
「早く、広く、長く」: 今期の流行は「早く始まり、広く拡大し、長く続く」可能性があると予測されています。
2. ピーク時期の予測
前倒しの可能性: 例年のピークは1月〜2月ですが,流行の開始が早いため,12月下旬から翌年1月にかけてがピークとなる可能性が指摘されています。
ピーク後の長期化: オーストラリアなど南半球の状況を踏まえ,ピーク時の感染者数は比較的大規模で,その後も長期間にわたり感染者数が高止まりする可能性が懸念されています。
3. 流行するウイルスの型
A型が先行: シーズン当初はインフルエンザA型(特にH1N1型)の報告が多く見られる傾向にあります。
B型に注意: 例年、A型の流行が落ち着いた後にB型が流行することが多く,シーズン中にA型とB型の両方に感染するケースも過去に見られています。
4. 早期流行の背景
感染対策の緩和: 新型コロナウイルス感染症対策の緩和により,人々のマスク着用や手洗いなどの感染意識が低下していることが一因と考えられています。
海外からの波及: 南半球(オーストラリアなど)ではすでに大規模な流行が確認されており,国際的な移動の活発化に伴い,ウイルスが日本へ波及しやすい状況です。
インフルエンザの予防接種(インフルエンザワクチン)には,主に以下のような大きなメリットがあります。
インフルエンザ予防接種の主なメリット
1. 重症化の予防
これが最も重要な効果とされています。
インフルエンザに感染して発病した場合でも,肺炎や脳症などの重篤な合併症を防いだり,入院や死亡のリスクを大幅に減らすことができます。
特に高齢者や基礎疾患(持病)がある方にとっては,命を守るための非常に重要な手段となります。
国内の研究では、高齢者の死亡を82%阻止する効果があったとの報告もあります。
2. 発病(発症)の予防
インフルエンザにかかる可能性(発病リスク)を一定程度減らす効果があります。
健康な成人では,発病リスクを概ね50〜60%程度減少させるとされています。
完全にインフルエンザへの感染を防ぐわけではありませんが,たとえかかったとしても症状を軽く済ませる効果も期待できます。
3. 周囲の人への感染拡大の防止(集団免疫効果)
自分が発病するリスクが減ることで,家族,職場,学校など,周囲の人へウイルスをうつして発症させてしまうリスクも減ります。
多くの人が接種することで,社会全体の感染の広がりを抑える「集団免疫」の形成にも貢献し,特にワクチンを接種できない乳幼児や免疫力の低い方を守ることにつながります。
4. 経済的・社会的なメリット
インフルエンザにかかり,重症化したり長く休んだりすることによる医療費の増加や,仕事や学業を休むことによる経済的な損失を防ぐことができます。
インフルエンザは,ただの風邪と違い、急速に重症化する危険性があるため,ご自身と大切な方を守るためにも予防接種は推奨されています。
医療従事者にとってのインフルエンザ予防接種は,「自分がかからない」というメリットよりも,「自分が病原体となり,最も守るべき患者さんの命を脅かさない」という倫理的・専門職的義務の側面も極めて大きいと言えます。

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